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デスク記事

2011/07/23

 「広く会議を興し、万機公論に決すべし」。天下の政治は世論の向かう所に従って決定せよ│という意味だ。明治天皇が天地神明に誓った、維新政府の基本精神「五箇条御誓文」の第一条である。第二条は「上下心を一つにして、盛に経綸を行うべし」とある。心をひとつにして、国家を治めよ│と諭(さと)している▼菅総理を最高責任者とする閣僚は、国家を運営する核≠ナある。それが歴史上稀に見る、離反し合った、核となり得ない内閣の姿だ。折しも、日本は崖っぷちに立ち、世界の中で輝きを失いつつある非常時にある。そして故郷を失い、明日が見えない生活を強いられている震災被災者。最も力強くリーダーシップを発揮すべき政府が、日本にブレーキをかけ続ける▼菅総理よ、胸に手を当ててじっくり考えて欲しい。世論の向かう所に従っているのかどうか。同僚と心を一つにして国難に当たっているのか│と。残念ながら、世論は10パーセント台の低支持率。閣僚からは離反され心はバラバラ。それなのに、的確な思考をめぐらす真摯な姿勢がなく、方向を見失った独りよがりの総理となっている。国民にとって迷惑千万である▼日本の政治には乱世には強力な指導者が現れる≠ニいうジンクスがあった。しかしそれは、もろくも崩れ去った。末期的症状と言う言葉がある。しかし今の内閣は末期を通り越し、すでに終了している。それなのに、終わったままで次に行かない政治空白が続いている。たった一人の人間が、かくも長期に渡って国を停滞させ、復興への足かせになっていることに驚く。