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東日本大震災は全ての面で日本の今後を変えて行く。そのうちの一つ、大阪市の都市機能の大変革が始まっている。東京一極に固まっていた従来の姿から、多種の機能が大阪など関西、そして名古屋など中部に分散しようとしている。すでに海外の企業は東京事務所を関西に移すなど動きが出ている。否応(いやおう)なしに、日本は変わろうとしている▼JR大阪駅北口に広がる24ヘクタールの広大な地域が「うめきた先行開発区域」として大変革を遂げようとしている。その中核≠ニなるのが「グランフロント大阪」。ここは日本のトップ企業12社が事業主体となって「知的創造拠点」を2年後の2013年までに完成させる。世界の研究者、企業者、芸術家、さらに一般市民のアイディアを反映させた新しい製品開発も行う▼平松大阪市長は「大阪は海外と経済交流促進協定を結び、ロボット技術都市、人材育成都市として世界の目が向けられている」と語る。大阪臨海部にはパナソニックなど大手企業が進出し、医療関連の企業や大学が進出してきている▼そのような動きの原動力になっているのが大震災を経て、日本が歴史的な局面を迎えている。東京一極の時代は去った。今後の日本は、多面的な行政を行い、機能を分散させる必要がある≠ニいう思想だ▼東京を含む関東、さらに東南海地域の巨大地震が、いつ起きても不思議ではないとされている。都市のエゴの段階ではなく、日本を維持して行くためにも、関西、中部、さらに沖縄から北海道まで、地域の特色を活かした都市機能の有効利用は、日本の必然的な方向だ。