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北海道のほぼ全域で見られる「セイヨウオオマルハナバチ」。特徴はお尻が白色なのですぐ分かる。実は外来種で、日本の在来種の「マルハナバチ」にとって、天敵になる。ところが在来種が外来種の攻勢で、その数を減らし、最近ではセイヨウオオマルハナバチの姿を見ることが多い▼何故増えたか。それは温室で育てるトマトなどの受粉を促進するため、20年ほど前からヨーロッパから盛んに輸入し、それまで人の手でいちいち受粉を行っていた手間が省けるようになった。農家は大いに助かった訳▼ところが外に逃げ出したセイヨウオオマルハナバチが野生化し、日本中に分布。特に北海道では在来種より多く見られるようになった。在来種より大型で強く、在来のマルハナバチは次第にその数を減らしているようだ▼外来種は花の外側に穴をあけ、密を吸い、花粉を運ばないため花の繁殖が出来ない。花たちは在来種の来るのを待っているが、外来種には来てもらいたくないのだ。この外来種は、道内自治体の害虫駆除の対象になっていて、紋別市でも駆除に乗り出している▼嫌われ者のこのハチ。我が家の前の道ばたに、一匹が身体を丸くして死んでいた。どうして弱ってしまったのか、その哀れな姿を見ると、なぜか同情する気持になった。たった一匹で、路上に倒れ、やがて命を落とす。孤独で、静かな死だ。人間の都合で輸入され、最初は大切にされ、やがて憎まれ、花にも嫌われ、人間から逃げまどう。せめて、踏まれたら可愛そうなので、草むらに隠してあげた。