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デスク記事

2011/08/25

 国道わきにススキの穂がキラキラ輝く季節となった。つい先日まで暑いですねえ≠ェ合い言葉だったのに、もう「秋ですねえ」の言葉が交わされる。そう言えばキリギリスの鳴き声≠熾キこえてきた。羽音≠ニ言うべきなのだろうが、和歌にも鳴き声と表現されていて、それが慣れ親しんだ言葉になっている▼秋は人の心を落ち着かせる季節。「どこかもの悲しい」と言う人も居るけれど「何故か心が落ち着く」と言う人も多いだろう。秋には人の心を静穏にする何かが有り、それは「音」なのではないだろうか。それも自然から得られる、心にしみ入る音▼「貴方は、音をどこから聞きますか」と聞かれたら何と答えるだろう。変な質問と戸惑いながら「耳からに決まっているのでは?」と多くの方が答えるだろう。正解なのだが、耳のほかに別な聴き方があるという。「音は、全身で聴いているんだよ。耳だけでなく、皮膚を通して聴いているのです」と▼音には、可聴域を超える超音波があり、例えば川のせせらぎや虫の音など自然音には、超音波の音域が含まれるのだと言う。それは耳ではなく皮膚を通して伝わってくる。しかも空気中より、水中で、より伝わり易いと言う。人体は約70パーセントの水分で構成されていて、皮膚で感知する音の影響を受け易いそうだ▼秋には、そんな自然音が多いのではないだろうか。無意識に皮膚で聴いた音が、全身をめぐって五感に伝わり、心地良い心境になるのかもしれない。耳に聞こえない音があって、それが皮膚から伝わって来るのなら、秋は心楽しい季節でもある。