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国内で天変地異が起きる度に、オホーツク沿岸の静穏を感じざるを得ない。東日本大震災と原発事故による放射能汚染により、故郷を追われ、あるいは再び戻れるかどうか分からない人は数多い。さらに台風12号による大雨被害は、和歌山県や奈良県を中心に、大きな犠牲が払われた▼5日から6日にかけて、北海道も大雨による被害が太平洋沿岸、道南を中心に発生した。30年前の8月、石狩川が氾濫する大災害が起きた時、私は札幌に居たため、大雨の恐ろしさを体験した。6日は札幌に出かける予定だったが「こんな時は出かけることを控えよう」と、先方に理由を告げ、紋別に留まった▼道央道が部分的に通行止めになったり、JRの運転を見合わせたり、洪水の危険が高まり、付近住民に避難勧告が出るなど、大雨による被害は広がった。先方との会合は大切なものだったが、自然を甘く見ない事こそ、自然に対する礼儀のような気もした▼そんな時、紋別には青空が広がった。テレビでは、本州で発生した大規模大雨災害を放送していた。あまりにも異なる光景に、思わず「ここは何と安全で、自然災害の少ない地域だろう」と思い、同時に被災された方に心を寄せた▼「天災は、忘れた頃にやってくる」という有名な言葉は、随筆家・寺田寅彦の言葉と言われている。彼は「津波と人間」という随筆で、昭和1933年に三陸沖地震、津波が起きたとき「明治の三陸地震を忘れていたのではないか」と書いている。オホーツク地域に自然災害が少ないからと言って、油断は禁物なのだ。