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横浜に住む1人の主婦が小学生の娘2人と、広島にいる母と一緒に紋別空港に着いた。道東をレンタカーで回る旅を、紋別空港から出発するためだ。空港で、免許証を忘れたことに気づいた。この日は佐呂間のホテルに宿泊し、翌日は網走を回り宿泊する予定だった。知らない土地で身動き出来ず、一家は途方に暮れていた。娘2人は泣き出しそうな表情だ▼主婦の免許証は母親の広島の自宅に置き忘れていた。事情を知った空港職員が「知り合いに頼んで、免許証を取りに行って貰い、網走の宿泊先に送って貰いましょう」と提案。幸い母の知人に事情が伝わり、これが功を奏して、免許証は網走に発送されることになった▼佐呂間に向かう前に、その職員は自分の車に4人を乗せ「とっかりセンター」に案内した。特に娘さん2人は、さっきまでの表情とは違って目を輝かせ、目の前で初めて見るとっかりに大喜び。元気を取り戻した▼職員はさらに4人をサロマ湖のホテルまで車で送り届け、そのホテルの責任者に「明日、網走まで送って欲しい。私もここまで送ってきたのだから、困っている4人を何とか頼みます」と頼んだ。その責任者も快く承諾し、この4人は無事網走まで、善意のリレー方式≠ナ送られた。後日、手紙で楽しく道東旅行をしたという知らせが、感謝の言葉と供に届いた▼オホーツクの、小さな空港だから可能な出来事だった。一家にとって、この職員はまさに「地獄に仏」だっただろう。一人の客を大切にし、楽しい旅をして貰う。言うは易いが、行うは難し。その一家に「よかったね、また来て下さいね」と伝えたい。