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デスク記事

2011/10/02

 「経済で悪魔(アメリカ)に奉仕してきた日本に天罰が下った」と、リビアのカダフィー大佐が国営放送を通じて声明を出した。平成7年に起きた「阪神淡路大震災」でのことだ。国家の最高指導者の、あまりの非常識、無神経さに世界は唖然とし、日本政府は勿論抗議した▼そのカダフィー大佐の40年以上に渡る長期独裁政権に反カダフィー派(国民評議会)が蜂起。内戦が続き、カダフィー大佐は事実上失脚した。絶対的な権力を持ち、君臨してきた人物が、今どこにいるのか分からない状況だ。強権政治に天罰が下ったとも言えよう▼サッカーのアジアチャンピオンズリーグで、韓国のプロサッカーチームと日本のセレッソ大阪の試合が27日あり、韓国のサポーターが「日本の大地震をお祝い(し)ます」という横断幕をスタンドに掲げた。不謹慎きわまりないことだが、韓国のメディアは「韓国の恥さらし」と、この行為を強く批判した▼国家間、国民間の感情の対立は、国の体制的、歴史的な事情にも依り、単に「出来事」だけを取り上げて云々することは避けなければならないが、それぞれの国に不幸が起き、国民が悲劇と混乱の中にあるとき、それを揶揄(やゆ)するような発言は厳に慎むべきだ▼総理大臣がクルクル替わり、少なからず政治空白も生じ、どこか隙(スキ)が感じられる日本。外国の軍用機、艦船の往来も急激に増えている。内憂外患の感がする昨今。国情が安定しない時に天災、人災が起きる。新たな悲劇が起きないよう、早く政治が安定し、国民の心に落ち着きが生じるよう、期待したい。