←前へ ↑一覧へ 次へ→

デスク記事

2011/10/05

 2日午後、浮島峠を通り、紋別に帰ってきた。旭川から上川までは激しい雨や突然の青空、そしてまた豪雨。秋特有の、変化の激しい天候だった。浮島トンネルを出た途端、雨がミゾレに変わり、強い風も伴って、枝から落ちた木の葉が道路に敷き詰められる。秋と言うより初冬の光景だ。この日の道内は急激に冷え込み、石北峠では雪が積もった。これからは、天候が一進一退を繰り返しながら確実に冬に向かってゆく▼北海道の四季の特徴は色彩の変化にあるように思われる。白色に覆われる冬。木々が芽を吹き、柔らかな薄緑がまぶしい初春。そしてコブシや桜の新鮮な色彩。やがて濃い緑の夏色となり、そして紅葉の時期を迎える。この繰り返しもその年によって色彩には微妙な変化があるようだ▼今年の紅葉は「例年より色が鮮やかでない」と言われる。赤や黄色、褐色など、それぞれの色素は、葉の中の酵素系の違いによってもたらされる。さらに気温、水分、紫外線などの自然現象、寒暖の差などが複雑にからみあって秋の色≠ヘ様々な色を演出する▼そんなことを考えながら浮島峠を通った。確かに、いつもの年より色彩に輝きがないようだ。「きっと、秋になって葉に蓄積されたブドウ糖やショ糖の成分が、最高の赤になるような自然現象に、今年は恵まれなかったせいだろうか」など思考を巡らすと、少しくすんだ≠謔、な褐色のカエデも、それなりに風情があるように感じられる。枝と別れ地上に落ちる木々の葉に「ごくろう様、一年間良く枝で頑張ったネ」と伝えたくなった。