デスク記事
随分以前、紋別の本町4丁目に「鈴木書店」という本屋さんがあった。タテ長の店の奥に店主の鈴木さんが、眼鏡を少し下げ、いわゆる鼻眼鏡でお客さんに対応していた。なかなか厳しい方で、立ち読みは禁止。ハタキ(棒の先に布きれをつけた、ほこりを払う道具)で、立ち読みをしている人の前で、それを振ることで知られていた▼小学生の私はある日「買うかどうかは中身を見てから決めたいのです」と言うと、鈴木さんは「おじさんはネ、それをダメとは言ってないよ。いつまでも立ち読みされれば、本が汚れてしまうし、次に欲しくて買った人は古本を買うことになるでしょ」と優しく話してくれた▼書店で良く見る光景。その@長時間の立ち読みA指をなめてページをめくる人B雨の日、濡れた傘を本の上に置いている人C本を思いっきり広げ、閉じても跡がついてしまうケースD読んだ′縺A元の位置に戻さず、時には投げるように乱暴な扱いをする人。平積みしてある本の上にヒザを立ててページをめくっている人も居る▼マナー以前の、そんな行為が時々目に付く。購入したい本を本棚から手に取ると、明らかに形を崩している本もある。途端に購入意欲が薄れる。中身を調べる時は、少し開いて遠慮しながら見るという、そんな最低のマナーを身につけて欲しい▼鈴木のおじさんが居たら何と言うだろう。「後の人のことを考えて下さい。あなただって、もし目指す本が汚れていたら、気分が悪いでしょ」と言ってくれるだろうか。でも、何か言われたら逆切れする人も居る時代。困ったものです。