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水の惑星・地球。水があるから生命が誕生し、維持されている。地球上にある水の量のうち、淡水は僅かに2・5パーセント。その多くは氷河であったり、地下水だったりで、河川や湖沼として存在する淡水は、地球上の水の1パーセントにも達しない。その水を人類は農業、鉱業用水、生活用水などに使っている▼「世界水会議」という国際会議が3年に1回開催されている。増加の一途をたどる世界の人口。あと10数年後には、約30億人が極端な水不足に直面するという予想が立てられている▼タイ国では今、未曾有(みぞう)の洪水被害が出ている。国土全体が平坦で、海抜ゼロの地域も多く、首都・バンコクでは、中心部を流れる大河・チャオプラヤ川の堤防が決壊し始めた。市内には多数の川が網の目のように流れていて、エンジン付きの小舟が交通手段だ▼チャオプラヤ川は、都市の心臓部を流れている川で、川岸近辺に官公庁、王宮、さらに三島由紀夫の小説「暁の寺」のモデルになった仏塔・ワットアルンなど数多くの仏教遺産が密集している。ここを4年前に訪れた。水上タクシー(高速ボート)が交通の足であり、生活、産業経済の導線である。そして平常の時でも、水面は川岸スレスレにあり、何かの原因で水かさが増せば、すぐ洪水になりそうだった▼日本で言えば、皇居や銀座が洪水になったようなものだ。タイ南部に住む知人からメールが届いた。「多くの企業が水没しています。水は引かず、今後の予測はつかず、更に被害が増えそう。でも、頑張ります」と。1日も早い復旧を祈りたい。