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昭和天皇のお食事を作っていた谷部金治郎氏の話を聞く機会があった。29日、滝川市のホテル「三浦華園」で開かれた「華麗なるロイヤルディナーの夕べ」の席上、谷部氏はこう語った。「天皇のお食事は基本的にとても質素。皆さんが想像しているような贅沢な食事ではなく、基本的に一汁三菜。麦が2割入っています」と語った▼そして「でも、それが健康には理にかなった食事で、皆様も成人病にならないよう昭和天皇を見習って下さい」と話した。また「天皇陛下はウナギが大好物でした。少しずつお食べになり、嬉しそうにして居られました。出したくても出せない料理はフグ。宮内庁から禁止されていましたから」と、大膳課(食事を作る課)での話をしてくれた▼「同じ方に365日、同じような食事を作るのは本当に難しいもの。ですから家庭料理こそ一番難しい料理。日々の奥様のご努力に感謝しなければ」と、ユーモアを交えてのトークを披露してくれた▼天皇陛下の最後の食事を作ったのも谷部氏だ。1988年9月18日、谷部氏は夜11時ころ電話で起こされ、天皇陛下が吐血されたことを知らされた。谷部氏は「それを聞いた途端、頭の中が真っ白になって、自分がどんな食事を作ったのか、今でも思い出さない」と言う▼翌朝、谷部氏と話を交わすことが出来た。谷部氏は「料理の記録は残っていますから調べれば分かる事ですが、今でもその気になれません。私は一生、そのことについては、真っ白な状態でいるのでしょう」と語ってくれた。