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デスク記事

2011/11/03

 「ユネスコ」=国連教育科学文化機構=は、世界の平和と人類の福祉を促進する機関である。しかし31日、パレスチナの正式加盟が決まると、アメリカが拒否反応を見せ、ユネスコへの拠出金の凍結を決めた。ユネスコの全体資金の22パーセントを占める▼イスラエルを支持するアメリカの行動は、ヨーロッパを始め国際的な批判を浴びている。パレスチナは国連への加盟も申請中で、アメリカは拒否権の発動も辞さない構えだ。しかし世界の趨勢(すうせい)はパレスチナの国際社会へのデビューを歓迎し、アメリカは孤立状態だ▼昨年の暮れ、チュニジアに始まった反政府デモは事実上の市民革命となり、強権政治に苦悩していた民衆の間に急速に広がった。続いてエジプト、リビアの政権が崩壊し、アルジェリア、イエメン、サウジアラビア、ヨルダンなどに広がっている。民衆によるデモは、今や世界的な傾向だ▼パレスチナのユネスコ加盟により、イスラエルは占領地のヨルダン川西岸地域などで、住宅の建設を加速し、パレスチナへの制裁を強めた。しかし近隣諸国に民主化運動が次々に起こり、目的が達成されている状況を受け、パレスチナは今まで以上に国際政治への参入を加速させている▼中東で起きている現在の自主自立≠ヨの動きは世界を揺るがす大河となった。さらに世界に広がる不況、失業などによる民衆の不満は反政府運動へと発展し、国の秩序が崩壊する。民衆の頭を抑えていた重石(おもし)がとれ、一気に爆発している、そんな危険な状況である。