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デスク記事

2011/11/16

 TPP(環太平洋経済連携協定)をめぐり、日本は対世界経済と国内産業の狭間(はざま)で揺れ動いている。経済のみならず、世界の中での今後の日本の在り方が問われる、戦後最大の課題に直面している▼政府はすでに来春にも交渉入りする方向にある。日本の動向は環太平洋諸国だけでなく、世界の注目を集め、日本の交渉入りは新たにカナダ、メキシコのTPP参加を呼び起こし、さらに参加国が増える可能性もある。日本は激動の世界経済の真っただ中に入ることと、国内各種産業に与える影響を考え、慎重な対応をすべきだ▼日本の世論を真っ二つにし、日本の将来に大きな影響を与えるTPPについて、その道筋をつけるのが国会である。その国会審議が心もとない。マスコミの報道も落ち着きがなく、場当たり的な面も見られる。野田首相が10日に予定していたTPPへの意志表明を1日先延ばしにした際、野党は「首相の決断力のなさ」「集中審議逃れ」と批判し、マスコミも「相変わらずの安全運転。指導力を発揮する最大のチャンスを逸した」など、性急な批判を強めた。熟慮するために1日保留することが、それ程批判されるべき事なのだろうか▼国会審議で首相を口汚く罵倒する議員、早くも問責決議をチラつかせる自民党。民主党内でも足の引っ張り合い。この重大な時に、正常な論議が行われているとは思われない。大きな視点での論議がなく、点数稼ぎの質疑に終始している。TPPに限らず東日本大震災など、難題は山積。信頼される国会でありたい。