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第2次世界大戦の勃発と同時に、ウインストン・チャーチルは英国首相に就任した。その時点で英国を取り巻く情勢は最悪で、破竹の快進撃を続けるドイツは欧州を席巻しパリも陥落、英国の首都・ロンドンの空襲も始まっていた▼その時チャーチルは、議会での首相演説でこう述べた。「大英帝国がなお千年続くものなら、その時人々はこう言うであろう。これが彼等の最良の時だった=vと。つまりチャーチルは「大英帝国の子孫が今の自分たちの戦いを見ている。その子孫に、誇ることの出来る今≠ノしよう。各自奮励し、自分の義務を遂行するときだ」と表現した。それまで意気消沈していた国民はこの言葉に奮い立ち、連合軍は反撃に転じたのである▼終戦直後、占領下で日本の首相を務めた吉田茂。5次の内閣を経た後、造船業界との癒着をめぐる造船疑獄事件で首相を辞任。その4ヶ月後にチャーチルも77歳で首相の座を退いている。奇しくも首相の座を同時期に退いた少し前の1954年、2人はロンドンで会合を持った。戦後初の首脳会議である。大戦を勝利に導いた英国の英雄と、敗戦国の首相だが、世界観について相通じるものが2人にはあった。世界の平和への道筋、それを阻害する要因などについて、ヒザを交えて話し合っている▼目まぐるしく交代する日本の内閣。事実上の国会空白が続き、世界の動きから遅れる日本。そんな状況を見るにつけ、過去のスケールの大きな政治家が思い出される。麻生総理は吉田茂の孫である。その血筋を引いているなら、例え解散前夜、短命内閣であっても、国家千年の計を眺望し、国家観、世界の中の日本を展望してもらいたい。たったひと言で、英国民の心を奮い立たせたチャーチルの演説は、歴史の教訓である。