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デスク記事

2011/11/29

 「関節痛」「血圧」「乾燥肌」。何のことやら≠ニ思えば、テレビの天候による「健康予報」とも言えるもの。一般の天気予報と並列して放映されている。最初は余興かな≠ニ思ったが、気象担当者が大真面目で分析しているのを見て、本格的な予報なのだと認識した。気候、気圧などが人体に影響を及ぼすことは承知しているが、気象予報と同じ次元でテレビに登場していることに、少々違和感を覚える▼このテレビを見て「そうか、今日は血圧が高めになる日か。気をつけよう」「肌が荒れる日だから、こまめな手入れを」など、出かける前に考える人が居るかも知れない。しかし、日本はこの種の過剰サービス?とも言える社会に向かっているようだ▼車も、危険を察知すれば自動的に回避し、知らない土地でもお土産屋さんや病院など、オペレーター装置を使えば対話形式で教えてくれる装置もある。緊急の時など助かるが、反対に「便利の行きつく先はどこだろう」という思いもわいてくる▼便利の裏返しは思考の停止である。不便であれば心が緊張し、自然に頭脳を働かすことになる。あれこれ考え、失敗しながらも何とか目的を達成させる日常を過ごしていると、本当に困った時に、土壇場で知恵を発揮する能力も育つ▼社会は、一寸先が闇。至る所が落とし穴だ。それを回避するためにはいざ≠フ時に反応出来る能力を育てておく必要がある。しかし今の社会は「あなた任せ」の方向に進んでいる。便利の陰に潜む危険。人はいつの間にか、それを察知出来ない状況になりつつある。