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東北自動車道を走った。普段の時間はあまり混雑しないが、通勤、退社時間になると、この高速道路は大混雑に陥る。盛岡から入って、北上ＩＣで降りようと思ったが、出口の約５キロ手前で大渋滞。事故でも有ったのかと思ったが、長い時間をかけてようやく出口近くに来て驚いた。ＥＴＣのラインには車はなく、料金現金支払所から長い列が続いている▼もちろんＥＴＣを通過したが、長蛇の列の理由を、北上に住む友人に聞くと、彼は笑って「みんな無料パスを持っているからだよ」と言う。震災被災者、工事関係者などの車両が無料になることを知っていたが、それによる渋滞がこれ程とは思わなかった▼「何の被害がなくても、被災県の居住者であれば、申請すれば事実上誰でも貰えるよ。私の家は停電があった位だったが、申請用紙に〝停電〟と書いて、すぐ無料証明書が配布された。だから誰でも高速道路を無料で使用できるのさ」と言う▼多くの方が無料証明書を持って高速道路を使っているのである。従って通勤、退社の時間帯には、特に混雑する理由が理解できた。聞くと、１区間であっても、高速道路を使用する習慣みたいなものが身に付いているという。「待つ時間を頭に入れれば、イライラしないで済む」と、涼しい顔をしている▼岩手、宮城、福島３県の全域と、青森、茨城県の一部が来年３月まで無料となる。被災地復興のための特例ではあるが、友人は「私など受け取る資格はないんだが、そうは言っても無料は魅力。みんなも持っているし」と言いながら恩恵に預かっている。