デスク記事
いつしか「紋別シンポ」という単語が、北方圏国際シンポジウムの代名詞になった。海外、国内から参加する科学者や企業などが、親しみを込めて、そう言う。今年で27回を迎える郷土のシンポジウムも、その内容を少しずつ変え、一般市民・中・高生も参加する幅広いプログラムになってきた▼しかも、その中身は濃い。流氷シンポ≠ニ言われるだけあって、海洋関係の研究発表は、現在の日本の最先端を行く。また地球温暖化や環境問題では、人類が抱える課題に対し、現在進行形の研究成果が、ここ紋別で披露される。5日間のてんこ盛り<vログラムは、それだけ各分野からの発表希望者が多いため。時間制限をして、より多くの研究者に発表の門戸を広げる▼なぜ紋別シンポが毎年これ程盛況なのか。それは、青田昌秋流氷科学センター所長が常日頃「オホーツクは、地球環境のセンサーの役割がある」と話す言葉に象徴される。流氷が来る南限の海。凍るか凍らないか、ギリギリの場所にあるからこそ、海は情報を提供してくれる▼地球の温暖化が進む中、オホーツク地域は農業分野でも今後の成長株。以前は下等米とされてきた北海道米が、日本のトップブランドになったのも、今後の「北の農業」が主流になってゆける証(あかし)である▼この地域は、これからである。希望の光を先取りし、国内外に発信してゆくのが紋別シンポ。市民組織による実行委員会が、誇りを胸に準備、運営している。委員の一人、80歳近いご婦人が毎年参加し「私にもお茶出しが出来ます」と笑顔を見せている。これこそ、紋別シンポの最大の強みだ。