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デスク記事

2012/02/17

 「胃が痛くなる毎日ですよ。この時期、何も要らないから流氷だけは来てくれ−そんな心境です」。そう語るのはガリンコタワーの上野修常務。1月20日から流氷観光で就航したガリンコ号は、今まで満足な流氷に恵まれていない。上野乗務の言葉は、ガリンコ関係者の共通した気持ちだろう▼流氷は沖合にはタップリあるのに、沿岸域に近寄ってくれない。氷のある所まで行くにしても、次の便に予約している観光客が待っているため、片道30分が限度。氷の海を約10分航行し、急いで帰ってくる▼それでも、10分でも氷の中を航行できれば幸いだ。流氷が遠くに去ってしまえば、青い海を進むしかない。そんな時は料金を500円差し引くことになる。「年間約3万人として、流氷に近づくことが出来なければ1千5百万円のマイナスです。涙が出ますよ」と上野常務は言う▼13日、近くの海面が凍り、幕を引くような海面になった。流氷ではないけれど、それでも観光客は喜んだという。船長は、少しでも厚い氷目指し船を進め、氷の感触を観光客に体感させる。歓声が沸けば、乗組員はホッと胸をなで下ろし、思わず表情がゆるむと言う▼名古屋から来たという3人組の方は、今回は網走のオーロラ号と紋別のガリンコ号に乗った。「網走では流氷の海を体感しました。とても楽しかった。でも、紋別のガリンコ号も素晴らしい。流氷はなくても、それが自然現象。別な意味で冬の海を充分堪能しました。何と言っても、この船だから良いのです」と語ってくれた。ガリンコ関係者の皆様、心労は続くでしょうが、頑張って下さい。