デスク記事
「企業は弱体化、銀行栄える」。そんな構図が、この不況時代に浮き彫りになっている。その一つの例が、稼ぎ過ぎて困っている℃O菱UFJフィナンシャル・グループ。日経ビジネスの記事によると、2012年度の最終決算で9813億円の黒字になる▼膨大な黒字を生んだ大きな要因が国債の買い上げと、その運用利益だ。三井住友も、みずほフィナンシャル・グループも同じく、国債の売買益が黒字を押し上げ、全体利益の30パーセントを占める。少子高齢化、不況時代に、国が借金をして、特に若い人にプレッシャーを与え、その国債を買い上げたメガバンクが利益を上げている▼しかし本業であるべき一般国民、企業への貸し付け、その運用利益は従来とほぼ変わらず、国債に頼った結果の黒字である。本業以外の国債依存の体質が浮き彫りになっている。銀行がしっかりすることは、その要因がどうであれ歓迎される。しかし問題は儲(もう)けた分をどう使うか│である。公的資金のお陰で太った銀行は、この不況時代に社会に恩返しすることが本筋ではないか▼世界各国も同じだが、国が銀行を手厚く保護するのは、社会の公共的な役割を担うためだ。社会の経済活動を支える役目を持つのだから、今こそ地域を、国民の生活を活性化させる、本来の使命を果たすべきだ。日本人の銀行預金は約610兆円ある。そのうち個人預金が400兆円。不況だから、企業も個人も、極力借金しないで預金する。国に資金がなくなり国債を発行。それを買った銀行が儲け、金が余る。どこかで修正する必要がありそうだ。