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車のナビ(道案内)で検索できないホテルが札幌に次々に誕生している。検索できないのは、ここ数年のうちに誕生し、ナビに入っていないためだ。本州資本が多いこれらのホテルと、北海道の老舗(しにせ)ホテルとの生き残りをかけた集客合戦が続いているという▼新しく誕生したホテルがどのような所か、5カ所に宿泊してみた。エージェント(旅行業者)主導で集客しており、旅行雑誌社との提携もある。共通しているのは安く、個性があること。部屋は広く清潔で、浴室の各種用品も種類を多くして、客が選択出来るようにしている▼朝食はおかずの種類が多く、楽しい。ソファーに置いてある腰当て一つにも、神経が行き届いている。接客の仕方も明るく、説明も丁寧だ。宿泊代が安くても、サービスは充分。既存ホテルも黙ってはいられず、価格を下げ、客の呼び戻しに懸命だ▼ホテルは「格安、サービス向上」と、利用者にありがたい経営に努めている。そして航空業界も格安戦争に入った。しかしその分を人件費削減、サービス面の後退で補っている。極端なサービス不提供方法に踏み切る航空会社もあり、これでは乗客と客室乗務員の間にトラブルが発生しかねない▼LCC(格安航空会社)が誕生するなど、驚く程の料金を提供してくる。そうしなければ生き残れない時代になったのか。そして札幌のホテルの無理な格安料金設定。苦悩を笑顔に隠したギリギリの経営。債務超過が続く老舗ホテルもあるという。空も陸も限界を超えた経営を強いられているようだ。利用者は「ありがたい」に安住している場合ではない。