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内閣総理大臣は行政の長。その決断は国家の現状、行く末を左右する。野田総理は、日本の目下の課題である消費税と原発再稼働について、自己の意志を通した。それに対する国民の反応は当然のことながら様々に分かれるが、野田総理は決断するという総理大臣としての責任を果たした▼この決断に対する評価は、後の世に委(ゆだ)ねるとして、間違いなく言えることは、戦後33人が誕生した総理の中で、最も困難な課題を背負った総理と言えよう。世界は大転換の時代に入った。その現実を前にしながら、党利党略、自己保身に右往左往する議員が目に付く現状。絡(から)まった糸の、どの糸がまともなのか、探すだけでも大変な作業だ▼野田総理の支持率が30パーセント以下に下がっている。しかし、この数字に何の意味があるのか。「消費増税に反対だから」「大飯原発の再稼働に反対だから」という理由も多い。しかし国民は、もう少し広い視野で物事を見る必要があるのではないか▼総理の責任とは、世界の状況、日本の現状、国民の生活、産業経済の環境、それら総合的な見地から、一つ一つの課題に対して判断することであろう。重要な課題であればある程、最終的には総理の決断が求められる。総理大臣の真価は、その時初めて問われる▼現状と未来を見据えたとき、どの判断が正しいのか、自信をもって言える人は神ならぬ身、一人もいないだろう。日本が未来に向かう道は、霧の彼方にかすむ。その彼方を予測しながら、目の前の多くの道を懸命に選択しながら、一歩を踏み出してゆく。それが今の日本ではないだろうか。