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デスク記事

2012/06/24

 2003年、自由党が民主党と合併した際、私はある会合で、小沢氏の側近の東祥三衆議に「小沢氏は民主党の水に慣れることが出来ますか」と尋ねた。東氏は笑いながら「慣れることなんか出来ませんよ。それは明白です」と言い、「今は民主党という建物の中庭に、テントを張って居るだけですよ」と言った▼機を見て、あるいは中庭であっても居ずらくて、いつかは出てゆくのだろうと、その時思った。その後民主党の党首になったり、幹事長になったり、民主党にドップリ浸かったのかと思ったが、今回の消費税をめぐって、小沢氏は民主党と決別する公算が大になった▼庭から出る機会は2007年にもあった。自民党の福田総理との話し合いで、自民、民主の連立をまとめようとした時だ。民主党議員から猛烈に反対され、連立は絵に描いた餅になった。以前の小沢氏なら、その時に庭から出ていっただろうに、そのまま民主党に留まった▼東氏が「合うはずがない」と言うように、小沢氏はいずれ民主党から去ってゆく運命にあるのだろう。民主党議員にしても、自由党との合併の話が出た際、小沢氏への拒否反応が非常に強く、合併までは鳩山−菅体制まで一年かかった▼報道によると、小沢氏が新党結成の構えだという。しかし2007年の自民党との連立の話の時とは異なり、今は追いつめられた小沢氏が、民主党に留まることが出来なくなった結果かも知れない。消費増税のない財政再建の理論も示さず、もし国民感情に訴え次の選挙での浮上を狙うなら、それは危険な賭(かけ)と言えるだろう。庭から出ることだけは成功するだろうが。