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テレビなどに良く出演し、多くの人に知られている評論家・勝間和代氏は、著書「断る力」で、このようなことを述べている。「断らないことが、その人の生産性をいかに妨げ、成長を阻害し、ストレスをためてゆくか。断る力は、生きる上での大きな武器」と▼この本を読んで思った。断る力とは、ただ闇雲に断ると言う意味ではない。断っているだけでは社会は成り立たないし、コミュニケーションも図られず、孤立するだけ。断るには、その前提として自己を高めながら、的確な判断をする力を養う必要がある…と▼その際、自分の現在の立ち位置を再確認することが不可欠。今までの自分と、今の自分と、そして近未来の方向と、それらを加味して社会に対応しなければならない。その上で、必要であれば「断る」という判断をすることが大切ではないか▼求められるがままに、あるいは自分に甘くなった結果として、断らずに成り行きのまま引き受けてしまうと、自分にとっても不幸なことだが、相手に対しても無責任な自分になってしまう。断ることに自信を持つことも、なかなか難しいことのようだ▼全ての人は、時間の流れの中に在って、その瞬間瞬間で周囲との関わりは変化し、人生の風景さえ異なってくる。「断る」とは、対・社会的な意味もあるが、自己の現在と境界線を知り、それに素直に従うことではないだろうか▼勝間氏の「断る力」とは、他に無理に合わせ、結果として自己が疲弊させる愚かな行動から決別し、より明快な生き方を求めよ−と言うことだと思う。そのための自己力を養うことこそ基本であろう。