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デスク記事

2012/07/28

 「人間も、本当に低劣になってくると、他人の不幸を喜ぶ以外には、もはや何らの興味も持たなくなる」│。ドイツの作家・ゲーテの言葉である。著名人や社会の脚光を浴びる人の過去の、断片的な部分を針小棒大にあばきたて、スキャンダル化しながら社会に毒を撒き散らす。知った人は眉(まゆ)をひそめながらも、興味心をそそられる▼そんな事例は古今東西、至るところにあり、その毒の渦に巻き込まれ、没して行った人は数多い。問題は、それによる社会の損失である。大阪市長・橋下徹氏の女性問題も、それに当たるだろう。メディアがいくら正義面しても、売らんがため、スキャンダル作りに狂奔している姿しか見えない▼昨今の不安定で、信頼に足らない国民不在の政治。そして戦後のシステム化された国の体制は、至る所にほころびが生じて来た。世界が変わっていく今の時代、日本も大胆にリセットし直す必要がある。それを阻(はば)んでいる官僚、政治家の壁を突破しなければならない▼国民の期待が、なぜこれほど橋下氏に注がれるのか。それは硬直化した今の状況を打破し、納得のゆく状況を作りたいためだ。その期待が大きい分だけ、今回の女性問題は世間を騒がす。仕掛ける一部メディアと、それに乗る女性。ゲーテの言うように、低劣でしかない▼人は一生を、聖人君子の如き自分史で綴(つづ)る事が出来るだろうか。否、そうであれば人間社会は成立しないであろう。全てを包含して社会は成り立っている。低劣な人間≠ノ陥(おちい)らないよう、冷静な思考が求められている。