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フランスのロワールの森に「シャンボール城」という、ルネサンス時代の古城がある。設計は、あのレオナルド・ダビンチと言われている。その城の中心に2重の螺旋(ラセン)階段がある。同じ階段ながら上りと下りが別々で、訪れる人がスレ違うことはない▼多くの芸術家、実業家などがここを訪ねる。下り階段で過去の先達の知恵に学び、上り階段でその知恵を基にこれからの目標を探す。過去と未来がこの螺旋階段で同化し、今の自分を見つめ、これからの目標を確固たるものにする▼紋別に住む私たちは、次のステップをどう定めるべきなのか。「閉塞感」という言葉が定着して久しい。日々が淡々と過ぎて行くものの、瞳を輝かせて未来を見つめる目標がない。日本の中でオホーツクという、格別な地域に在る紋別。今まで、水産都市紋別の土台を揺るがす200カイリ問題、鴻之舞金山の閉鎖、名寄線廃止、誘致企業の撤退、減船など、難題を知恵で克服し、新たな目標を設定し、心を躍らせながらマチ作りをしてきた▼空から見る紋別は、海岸線が美しく整備され、東京直行便が飛び、都市は整然とし、都市の形態は一定の落ち着きを見せている。しかし、ここで大事なのは次の目標をどう設定するかだ。時代的な接点に在る現在、次のステップをどう踏み出すか、行政、市議会等でその論議が成されていないのが気になる。市民が、活力をもって生きるために、自分の住むマチにワクワクする目標を持つことは大事なことだ。螺旋階段を上下するように、過去を未来の力に変え、次の一歩を踏み出す知恵を持ちたい。