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デスク記事

2012/09/23

 庭にトマトの苗を植えようと、今年6月苗を買いに行った。植え付けの時期としては遅かったのか、すでに苗は残っていなかった。ただ、枝が折れて、その部分がカットされた苗が5本だけ残っていた。茎は細く、やはり売れ残りの苗らしく勢いがなかった▼値段は安くなっていて1本50円。売り場の方が「これで最後ですから。しかも随分枝が折れてしまいましたから、買って下さるならもっと安くします。でも大丈夫、育ちますよ」と言ってくれた。1本でも残せば、残った苗が可哀そうになって、5本全部を買ってきた▼毎年植えているミニトマト。今年、残っていたのは中玉トマトだったので初の育成だった。いつもより丁寧に、肥料も時々やって、強い風が吹けば、添え木をして苗を守った。やがて、あの哀れっぽく、細かったトマトが勢いよく育ち始めた。そうなれば嬉しさは倍増する。毎朝、育ち具合を見るのが楽しみになった▼しばらくして、青く小さな実を見つけた。そして実は次々に増え、見る見る大きくなっていった。9月15日頃、トマトは次々と熟し、我が家の食卓に上がる日も多くなっていった。「自分の庭で育ったトマトは、どことなく美味しいね」という会話を交わしながら、楽しんだ▼何かの本で「雑草、樹木があっても、あまり刈り取らないように」と書いてあった。だから、これらのトマトは雑草などに力強く勝ち、実をたわわに付けたのだ。支える枝は太く、実を結んでもガッチリと姿勢を保っている。「さすが、生き残ってきただけのことはある」と声をかけてあげたい。「よく頑張ったね、でもこんなにたくさん実を付けてくれてありがとう…」と心で感謝した。