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オホーツク海の流氷は、ロシアと中国の国境を流れる大河・アムール川の真水の所産。そのアムール川の環境保全を目的に、流域のロシア、中国、モンゴルの科学者と、北大など国内3大学の研究者が共同で、アムール川流域の海洋観測を25日から行っている▼三井物産の環境基金を使って、日本の「アムール・オホーツクコンソーシアム」(私も加入)という組織が音頭をとって行っている。調査の責任者である北大低温研の白岩孝行准教授は「水のモニタリングを行いながら、船上で意見交換をします。その後ロシアのメディアに対して記者会見をし、今後の国際共同研究を深めます」と伝えてきている▼尖閣諸島、竹島問題が厳しさを増し、スポーツや文化交流のキャンセルが相次いでいる。日・中国交回復40周年の行事も中止になった。政治的にはもとより、経済、民間交流にまで影響が及んでいる事は、憂慮されることである▼そんな中、白岩氏は「東アジアの情勢が日に日に険しくなるが、アムール・オホーツクコンソーシアムとしては当初の理念通り、科学を基礎に置く認識共同体として、隣国の研究者と環境調査の体制を強化したいと思います」と話す▼本来、民間交流や文化、芸術、スポーツなどに国境はないと言われている。ところがその分野にも国境は鋭く切り込んで来ている。しかしロシアのハバロフスクから「明日から船に乗ります。この成果を、来年の紋別でのシンポジウムで発表させて戴ければ幸いです」とメールが入った。海の上で友好を深めながらの研究。そこに国境はない。