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デスク記事

2012/09/28

 筋書きのない自民党総裁選だった。それは従来の派閥主導形式が薄れ、結果的に議員個々の判断による自由な総裁選だったことに起因する。その意味で、今回の自民党総裁選は爽やかで、党が躍動し、高揚した選挙だったと言えよう▼野党の総裁選がこれ程国民から注目された大きな要素は、新総裁が次の内閣総理大臣に就任する可能性が高いこと、さらに日本は今、戦後最大の危機に直面し、政治に対する期待、関心度が高くなっているためだろう▼東日本大震災、尖閣諸島、竹島、北方領土問題が次々に切羽詰った状況になり「武力衝突」という危機意識さえ、国民に浮上して来た。さらに中東を中心とするクーデターによる政変、内戦、またはイランの核開発をめぐるイスラエルの空爆の可能性が深まるなど、世界情勢は一触即発の状況に在る▼先進国と言われた国々が国力を弱め、開発途上国と言われてきた国々が力をつけ、それによる経済、産業、さらに軍事的な力関係も変化してきた。つまり世界は、近代史の中で最も激しい変化の時代にあり、その軋(きし)みの中で平和と破壊の接点に立っている▼そんな周囲の国内、国際環境が、平和ボケしていた日本人にこのままではダメだ。頑張らなくては≠フ危機意識が戻ってきたと言えよう。それが今回の自民党総裁選を鮮度あるものにした。与党・民主党も他の政党も、今こそ自己の置かれている立場の重要性を認識し、大きな視野に立って政治を進めて戴きたい。国民の本気度が上がり、政治に活力が生まれれば、日本は間違いなく再生し、世界をリードできる。