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「三本植えれば森≠ノなる」とは、ブルー・プラネット賞を受賞した植物生態学者・宮脇昭氏の言葉。確かに、木という文字を3つ重ねると「森」になり、その下に2つ並べれば「森林」になる。彼は言う「木を植えるには、横1メートルのスペースがあれば充分。誰でも森は作れます」と▼10月8日は「木の日」。35年前、日本木材青壮年団体連合会が提唱して決まった。木という文字は十と八の組み合わせで出来ているから、この日になった。宮脇氏「どんな強い人にも弱い部分があるように、自然にも急斜面、山のてっぺん、水際など弱い部分がある。昔の人はそこに寺社を建て、いわゆる「鎮守の森が生まれた。近年では自然破壊が進み、鎮守の森が急激に少なくなり、自然災害に弱い国になっている」と▼宮脇氏の主催する植樹祭に参加した、ある小学6年生の女の子がこんな作文を書いた。「ぜんそくで困っていますが、木が大きくなると酸素を出して炭酸ガスを吸収してくれて、私のぜんそくが治るかもしれません」│。▼地球に生命が誕生した約40億年前から、木や草は地球の緑を保ってきた。人間が消滅しても、植物は生態系システムの中心に在るだろう。そのことを宮脇氏は「どんなに科学技術が発展しても、この地球に生かされている限り、人間は緑の森の寄生虫でしかない」と表現する▼自然に恵まれている紋別を見ても、わずか数十年で森林の厚みが減少し、市街地の緑も大幅に消滅。鎮守の森≠ェ消えてきた。少し時計を戻し、森の中にマチがある│。そんなマチ作りを進めたいものだ。