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デスク記事

2012/10/12

 「なくていいもの」は人によって異なるけれど、「音」に関して言えば、空港の動く歩道でエンドレスに流される「ご注意ください。危険ですからお子様の手を離さないで下さい」コール。親なら、言われる前に気が付いているはず。飛行機の入口での、客室乗務員の無意味な笑顔と挨拶。降りる時、通路に居る係員の、ロボットのようなお礼の言葉。機内、空港内に流れる癒しの音楽▼「お電話ありがとうございます。お蔭様で○○周年の○○です」の、録音された丁寧な枕詞。数秒ながら、その間待つのも結構長い。それでいて次に出てくる不機嫌な肉声。全然合っていない。テレビの効果音。ドラマで場面を盛り上げるため流される音が、セリフが分からないくらい異常に大きい。これでもか≠ニいう制作者の押し付けがましい意図が見え、シラける。時々、効果音のないドラマなどがあるが、日本語の美しさが良くわかり、実に快適だ▼いわゆるバラエティー番組は、まさに騒音。出演者それぞれが大声を出し、意識的にトンチンカンなことを言い受け狙い。多くの外国人が「日本人は静かで思慮深い文化を持っているのに、なぜこんな幼稚くさいことが喜ばれるのか」と首をひねるという。それに、ヒネリ過ぎて意図不明のコマーシャル。品のない画面▼都会は、ただでさえ不快な騒音に取り囲まれている。その上での騒音。だから人為的な音の中には「もっと控えてほしい」と注文をつけたくなるケースも多々ある。なぜ「音」がこんなに無秩序に流されつ続けるのか。もう少し落ち着きのある環境を≠ニ思う時がある。