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デスク記事

2012/11/21

 13日夜、札幌でタクシーに乗った。中年の、温和な運転手さん。「そうですか、紋別ですか。最近行ってませんが、活気がありますよね。以前、はまなす通りに行って、楽しんだことがあります。雰囲気が良くて、また行きたいですよ」と嬉しいことを言ってくれる▼でも寒いんでしょうねえ冬は…流氷が来ますから」と言う。私は「流氷のイメージは寒い、冷たい│でしょうが、内陸の都市に比べれば、はるかに暖かいんですよ。最近は温暖化のせいで、流氷もあまり滞在してくれません」など、ありふれた会話が続いた▼突然、運転手さんは話を変えた「最近、私たち運転手仲間で警戒していることがあるんですよ。それはお客さんが忘れていった携帯電話なんです。お客さんが降りたあと、少したって着信音。私たちはあっ忘れたな。家の電話からかけているのだろう≠ニ、最初はその電話に出て、近くなら届けたこともあったのです」▼「ところがある日、同僚が持ち主の待っている場所に届けると、何人かの若者が居て『なぜ勝手に人の電話に出た』と文句をつけられ、脅されたのです。そんな話が他の同僚から俺もひっかかった≠ニ立て続けに出てきて、それ以来、忘れ物の携帯電話の着信音が鳴っても出ず、すぐ警察に届けることにしたのです」▼彼は言う。「お客さんは多種多様。さりげなく気を配るようにしています。大切なお客さんですから。もちろん疑うのではなく、雰囲気を感じ取るようにしています」とのこと。季節がら、落ち葉の似合う札幌のマチ。しかしロマンチックなことばかりでない。