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デスク記事

2012/11/24

 アメリカ人はジョークが好き。しかし決して生まれながらの笑い好き≠ニ言う訳ではない。厳しい競争社会の中で、少しでもユトリを持とうと、笑いを求めると言われている。各種の会合でも冗談を言い合い、常に笑いがある。ちょっとの冗談にも、無理してでも笑っているように思える。その中に居ると、アメリカ人のある種の哀しさを感じる▼アメリカの国の祭日である「感謝祭」では、親族、友人などが集まり食事会が開かれる。大統領が執務するホワイトハウスでは、運ばれた七面鳥の命を助ける行事が毎年行われる。21日、目の前の七面鳥を見てオバマ大統領は、激戦だった先日までの選挙戦を思い出し「私も延命され、再度チャンスをもらった」と、延命された七面鳥に大いに同感したという。ジョークとも取れるが、非常に切迫感のある冗談だ▼さて、日本の衆議院議員選挙の投票が来月16日行われる。一年で一番忙しい師走の選挙。選挙が全てに優先する訳でもないのに、日程を少しでも先送りする配慮もなかった。乱立する政党。ツギハギだらけの、一時しのぎの団結、くっつき合い。それを「真理だ」と、国民に押し付ける▼迷惑千万な話だ。争点がぼやけ、従って有権者は焦点を合わせられない。信念を持った的確な一票を投じることが難しいのだ。あらゆる面で日本が崖っぷちに在るこの時期。選挙結果は日本の行く末に重大な意味を持つ。しかし候補者は本音を語らず、国民の気を引く話ばかり。世界の中の日本を長期的にどうするか、大きなロードマップも示せない。これこそ笑えないジョークだ。