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いつも、どこからか、語りかけるような歌声が聞こえていた。あれが歌か?≠ニ、最初は思った。正直なところ、そのリズムを好きになれなかった。しかし耳について離れない、いつの間にかハミングしている自分がいた。それが嫌で、何とか忘れようとした▼それがビートルズだった。しかし忘れようとしても、四方八方から流れてくる、あの特徴のある音、声。やがて、不思議なことに次第に気にならなくなり、さらにレコードを買ってBGMとして聞いていた▼決して熱狂的なファンでなく、周囲がビートルズ談義に花を咲かせても、話題についてゆくだけの知識もなく、話の輪には入れなかった。しかし、後に思った。ビートルズの音楽は、自分みたいに「聞き流す」ことも出来る幅の広さを持っているのでは…と▼イギリスの港町・リバプールに誕生したロックグループは、またたく間に世界の音楽を席巻した。ジョン・レノン、リンゴ・スター、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンの4人は、偶然の出会いで知り合った音楽好き。ジョン・レノンは札付きの不良少年とも言われていた▼最初から売れた訳ではなく、下積み時代を経た。大手メディアに取り上げられるなどの幸運もあって、やがて爆発的な人気となり、社会現象ともなった。10億枚以上のレコードの売り上げはギネス記録。曲は時代を超えて、今も多くのファンに愛されている。1980年12月8日、ジョン・レノンはファンと名乗る男に自宅アパート前で射殺された。当時BGMとして聞いていた曲が、今でも耳に残る。