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数字の「3」は不思議な数字だ。「三種の神器」「日本三景」「三位一体」。さらに「三人寄れば文殊の知恵」「早起きは三文の得」など「3」が中心になる言葉は数多い。友達2人で旅行するより、3人の方が落ち着く。構造物でも三角形は安定感がある▼戦国の武将・毛利元就(もうりもとなり)は3人の子供に「一本の矢は折れやすいが、三本束ねれば簡単には折れない」と、兄弟力を合わせ、国を守るよう教えた。これは「三矢の教え」として知られている▼「大胆な金融政策」「機動的な財政出動」「民間の投資の引き出し」の3本の矢で経済を活性化させる│。これは安倍総理の経済運営の基本である。経済対策の事業規模は約20兆円。巨大な資金でデフレ脱却、円高是正、経済成長、雇用の創出、企業の投資を促進させ、個人の消費につなげる計画だ▼超大規模な資金を世に出すわけだから、その目的も当然欲張りになる。しかし資金が潤滑にまわり、経済がスピーディーに成長しなければ、折角の大胆な金融政策も巨大なツケを後に残す事になり、国家財政は「三途の川」を渡ることになる▼日本は今、伸(の)るか反(そ)るかの瀬戸際にある。領有権をめぐる周辺国家との軋轢(あつれき)、経済連携をめぐる新たな課題、世界経済の中の日本の役割、さらに新たな防衛課題など、内外に重要課題を抱えている▼今日本に必要な安定的な三本の矢≠ニは何か。まず政治、そして国家の頭脳である官僚組織、それを大きくサポートする国民。この3本の矢が協力し合い日本を支えれば、やがてトンネルは抜けられるだろう。