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「青年は未来があるというだけで幸福である」とは、帝政ロシアの小説家トルストイの言葉である。「少年老い易く学成り難し。一寸の光陰軽んずべからず…」とは、中国の故事。若い頃は、言葉だけを頭の中で覚えていたが、歳を取るにつれてその意味の深さが伝わる▼大人の門を叩いた遠い昔の20歳の時、確かに希望にあふれていた。青雲の志を抱き≠ニいう言葉もあるけれど、まさに果てなき未来を見つめ、心にエネルギーが湧いてきたのを思い出す。しかし、事はなかなかうまく行くものではない。その主たる原因は、随分と時間を無駄にしたことにある▼気が付けば年月を経ても何も成就していない。それでもまだ時間はあると考えていた。時間を追わず、気が付かないうちに時間に追い抜かされ、先を走る時間に追いつくことは出来ない。夢、希望は、そんな風にして次々に脇の下からスリ抜けて行った▼新成人の皆様、ハタチという年齢は若く、未来があるというだけで幸せだと言えましょう。しかし私たちが何となく抱いていた未来へのワクワク感を、今のハタチの方々は持つことが出来るだろうか。やがて2人で1人の高齢者を背負うとか、先進国で唯一給料が下がっている国日本▼それでもなお国の借金は膨らみ、それも若い人にのしかかってくる。ワクワク感は現実を見なくて良い時に持てるもの。これ程はっきりと重い荷物を見せられれば、トルストイの言葉にも?<}ークがつくだろう。だからこそ、若い人が自分の未来に希望を持ち、心が明るくなるような、そんな政策を、国は盛り込んで欲しい。