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デスク記事

2013/01/20

 「寒い」を通り越して「冷える」。雪も多く、数十年前に戻ったような今年の冬。灯油価格も上昇を続け、何とか節約しようと思うから室内を充分に温めることもできない。「寒いですねえ」「雪も多いですねえ」が挨拶用語にもなっている。嘆き節を耳にする今年の冬だ▼18日、カーテンを開けると快晴。「エッ?、小雪が降っている。晴れているのに」と、瞬間そう思ったが、すぐそれがダイヤモンドダスト≠セと気づいた。いつもの冬はあまり目にしない光景。それも、どこまでも遠く、高い空の彼方まで、キラキラ輝いていた▼空気中の水分が氷となって舞い降りる自然現象。太陽の光に反射し、まさにダイヤの輝きを演出してくれる。逆光で見るとなお美しい。クルクル舞い降りる氷晶が、多面的に光を放ち、地上に降りても輝き続け、雪面を覆い尽くしている▼いつの頃からか、誰が名づけたのか「ダイヤモンドダスト」という名称。しかし、この朝の神々しいまでの光景を見ながらダスト≠ニいう表現に少し違和感を覚えた。きっと「粉末」という意味だろうが、一般にはダストは埃(ほこり)、灰という印象が強い▼昼頃まで続いたこの日の壮大な光景は、混じりけのない澄んだ大気と、ピリピリする透明な寒気。純な自然が生み出した厳(おごそ)かな儀式のようだった。そこで勝手に「ダイヤモンド・フォール」と名付けた。ダイヤの集まりが、空間を覆いつくし、滝のように飛沫となって地上に降りてくる。そんなイメージだから。それはともかく、寒さは、こんな素敵なプレゼントをしてくれる。