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中年以上の年代が、カラオケで良く歌う「カスバの女」がどういう歌なのか、知っている人は少ないだろう。1950年から1960年代にかけて、アルジェリアがフランスからの独立を求め、アルジェリア民族解放戦線を立ち上げ、抗争した。フランスからアルジェリアの首都・アルジェのカスバの酒場で働いていた女性が、母国フランスに思いを馳せる歌である▼アルジェリアは1962年に独立した。アフリカ第3位の産油国で、フランスや欧米と良好な関係を保っていた。しかし近年はフランスが過去の植民地支配を妥当とし、両国の間に歴史問題が浮上したため、アルジェリアとの摩擦が生じた。欧米と距離も広がった▼悲劇的な結果を招いた今回のアルジェリアの人質事件。引き金はフランス軍。マリ共和国のイスラム過激派への軍事介入だった。国際テロ組織が活動を活発化するこれらの地域。アルジェリア政府と対立する反政府組織が、今回のテロを行った▼日本はエネルギー輸入国。近年ではアフリカへの資源外交を強め、今後も新たな経済交流地域を求めなければならない。しかし今後の世界は繁栄と貧困とのギャップが益々深まり、テロは、そこから生まれ、命がけの闘争が繰り広げられる▼人間の歴史は、富める国が植民地を拡大し、国と人民を支配してきた。近年になっても、支配され、服従を強いられた人々は、強烈な怨念と反発を抱き、テロ組織が次々に生まれる。日本人が理解するのは困難だろうが、その根は深い。命がけのテロ、反政府運動は今後も続くのだろう。