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「42歳の時から、飛び石的な入院生活さ。62歳の現在まで、病院から解放されたことはない」と言う。25日、旭川の病院に入院中の友人を見舞いに行った時のこと▼旭川での会合でたまたま同席した時から、妙に話が合い、語り合える友となった。明るく、豊富な知識を持ち、彼との会話はとても楽しい。彼は「自分が明るくするのは、そう振る舞わなければ自分が滅入ってしまうから。それに、従業員が心配するから」と言った▼まず大腸ガンで手術をし、次に糖尿病。さらに内臓疾患と続き、今日まで入退院の繰り返し、今回は全身の皮膚疾患に悩んでいた。見ると、大きな斑点が全身に及び、しかも常に強烈な痒(かゆ)みが襲ってくる▼彼は言う。「人生を考えるようになった。兄弟、親戚、それに従業員に心配をかけ、自分が情けなくなった。でも、一方ではこんなに長い間、数々の病気に苦しんできたのだから、ここで心が折れれば俺の負け。なにクソ≠ニいう気持ちになっている」と▼特製のバッグには病院から出されるあふれる程の薬。糖尿の注射、時間ごとの様々な薬の服用、一日2回のシャワーは、全身の皮膚に薬を塗るためだ。「これが俺の仕事。そう割り切っているが、時々、自分の不甲斐なさが嫌になる」と言う▼彼は周囲から愛され、従業員から慕われている。入院していても十分な仕事をしている。私が「君は常にみんなの中に居て、強い指導力を発揮している。それが君の実力。私も、多くの人も、そうはなれない」と言うと、彼は「紋別で、うまい魚で一杯やりたいなあ」と目を潤ませた。