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デスク記事

2013/02/07

 「あっ、流氷よ」「ホラ、そこに浮いてる」。若いカップルが携帯電話で大急ぎで撮影していたのは、プカプカ浮かぶ氷の破片。先日、小学生の孫に誕生日のお祝いに≠ニネダられ、ガリンコ号に乗った。強い風が吹き、それまで沿岸にあった流氷が、かなり沖に遠のいていた▼それでも遠くの流氷帯を追ってガリンコ号は速度を上げ、やがて流氷の破片が現れ、次第にそれが多くなっていった。この若いカップルは流氷は初めてで、海が凍るなんて信じられない様子。だから、所々に浮かぶ氷の破片でも、感激して撮影しているのだ▼流氷帯に入ると、厚い、ゴツゴツした流氷がビッシリとガリンコ号を囲む。ドン∞ドン≠ニ船体にぶつかる流氷。「エッ、大丈夫?」と心配し、記念撮影をしながら「良かったね」「最高だね」と喜んでいた▼海に浮かぶたった一片の流氷にも感激する2人。しかし満席となったこの便の誰もが笑顔笑顔。「あの流氷、大きい」「カモメがすぐ近くまで来る」と、揺れても歓声、ドリル式のスクリューが氷を砕く様子を見ても歓声。船内は大賑わいだった▼地元の人間として素直に嬉しかった。冬真っ只中の紋別に来て、ガリンコ号に乗って喜んでいる姿を見ると、紋別が彼らに素晴らしい思い出をプレゼントしているようで「ありがとう、来てくれて」と思ってしまう▼流氷は気紛れだ。今までいたかと思うと、少しの風でも沖合に去って行く。願わくば、折角オホーツクまで来てくれる観光客のために流氷よ、2月いっぱいくらい、ここに留まってほしい≠サう願ってしまう。