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オホーツク海の流氷の生成に大きな影響を与えているアムール川は、流域面積が日本の総面積の約5倍という大河。その環境、水質などの調査が昨秋、日本、ロシア、中国、モンゴルの4か国で行われた。18日の北方圏国際シンポジウムで、北大の白岩准教授が概略を発表したが「ロシアの各種制約で十分な調査が出来ない」という▼中国吉林省の化学工場の爆発事故(平成17年)で、松花江からアムール川に有害物質が流れ、環境が悪化。その調査も主要な課題。しかし肝心の水、川底の泥などの採取は厳しい規制があって出来なかったという。サンプルの国外持ち出しも禁止で、これでは環境調査が事実上出来ない状況▼しかも白岩氏は「帰国の際、空港で一時身柄を拘束された。これでは安心して調査が出来ない。今後もサンプリングの国外持ち出しなどを要請していき、アムール川の現在の姿を明らかにしたい」と話している▼故・青田氏が以前アムール川の調査を行った際「環境は非常に心配される状況。オホーツク海の環境を守るためにも、調査は続けなければならない」と語っていた。アムール川の環境対策を進めるためにも、詳しい調査研究は不可欠。それが出来ない状況を、白岩准教授は憂慮する▼青田氏は電波を発信するブイ≠ナ、アムール川から北海道沿岸域への海流調査を行い、ブイがオホーツク北海道沿岸、十勝沖などに流れたことを実証した。アムール川は流氷の生成はもとより、川から流出する豊富な真水には「溶存鉄」が含まれ、水産資源を育てる母なる大河。その負≠フ部分も解明していかなければならない。