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日本人ミュージシャン・ファンキー末吉さんが先月、北朝鮮の首都・平壌(ピョンヤン)に行き、7年間音楽指導をしている高校を訪ねた。核実験直後の平壌のマチは、実験成功を祝う雰囲気が満ち、核兵器を軸に強盛大国を目指す強い姿勢があった▼しかし音楽を楽しむ高校生の表情は純粋で、澄んだ目をしていた。彼は高校生に宿題を与えた。「自分の自由な言葉で、歌を作ってみよう」と。高校生がみんなで作った歌のタイトルは「未来へ走って行こう」▼「青い海の波の上に、私たちの夢を描こうよ…私たちは未来の主人公。足は大地に、目は世界に向けて」。それを歌い、演奏する高校生の表情は生き生きと輝き、歌詞にあるように、平和な未来を描いていた。世界中の子供たちも、未来の夢は同じであろう▼彼は言う。「この子達の夢はボタン一つで吹っ飛びますよ。この子達の未来に幸あれと祈るだけです」と。子供達は「また来て下さい」と握手を求めてきた。彼はまた次≠信じながら、子供たちの手の温かさを確かめた▼彼は言う。「今回感じたことは、携帯電話など通信手段が普及していて、市民は世界中に電話がかけられ、自由に会話を交わしていた。政治体制は孤立化を深めているのに、国は世界に門戸を開けている。不思議な思いがした」と▼今、世界のどの地域にも一触即発の危機が存在している。そして一触≠ェ、人類の破滅につながる危険さえある。人類の願いは、平壌の高校生と同じく「青い海の波の上に、夢を描く」こと。それを可能にするのが、為政者の役目なのだが…。