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日本の自然の王国・北海道の生物を外来種から守ろうと、4月から「生物の多様性の保全条例」が施行されることになった。外来種対策をしなければ、北海道内に生息する動植物、昆虫、貝などの軟体動物などが減少し、やがて絶滅の心配もある▼コイ、トノサマガエル、カブトムシなど、お馴染みの生物も、道外からの外来種で、コイは食欲旺盛で、カブトムシは、元々北海道に生息するクワガタの天敵とされている。トノサマガエルは学校の教材として持ち込まれたものが、増えてしまった▼NHKのテレビ番組「里山」は人と生き物が共に暮らす自然≠ェテーマ。見る度に、以前の紋別はマチ全体が里山だったことを思い出す。市街地の道路添いの側溝に水が流れ、そこにはゲンゴロウやタガメ、エビ、トゲウオなどがたくさんいた。カエルは卵を産み、多種のトンボが群がってきた▼現在のイオンのある場所は、以前は2面の氷池があり、水中生物の宝庫だった。もちろん、大型の銀ヤンマ(トンボ)も、悠々とやってきた。草むらにはカマキリや大型のバッタも、生き生きと活動していた▼中心市街地でも、樹木にはセミの幼虫が土の中から上がってきて、大合唱をしていた。身の回りの、どこにでも昆虫や水生生物がいて、人と共に暮らしていた。当時はそれが当たり前だったが、今となっては懐かしい▼自然が豊かな北海道でも、生物にとっては住みにくくなって来た。開発が進み周囲の自然が少なくなり、樹木も水辺も、川も沼も、姿を変え、なくなってきている。「里山」の大切さをつくづく思う。