デスク記事
「一票の格差」が問題になっている。すでに最高裁で「違憲状態」の判決が出され、全国16の高裁・支部の判決でも違憲・違憲状態となった。三権分立を堅持する上でも、選挙制度の抜本的な見直しが行われるべき事は理解できる。しかし「一票の格差」を人口比だけで是正して良いものだろうか▼現在の衆議選の選挙制度では、全国津々浦々、国民の声を平等に反映させるため、300議席のうち47都道府県に「一人別枠」を割り当て、253議席について、人口比例をする方式で行われている。これが格差を生む原因として、全体の制度見直しが論議されている▼「一票の格差」を人口比だけの数字合わせで解決しようとすれば確実に格差は縮まるが、その結果人口集中地域、つまり都会偏重に傾き、地方軽視を招く恐れがある。さらに、厚労省の人口問題研究会が推定した2040年の日本の人口は、秋田県の急速な人口減(35パーセント)を筆頭に、地方の人口減少が顕著だ。そうなれば地方の声は国政に届きにくくなり、これが法の下の平等と言えるのか疑問▼「衆議は地域代表でなく、全国民を代表する者。従って地方代表ではない」が法的な解釈。しかしそれは建前論過ぎる。都会選出の議員が、多くの課題を抱える地方の実情を、正しく国会に届ける事が出来るだろうか。山あり谷あり、過疎地、限界集落有りの日本。それらを総じて国家、文化が成り立っている。選出議員を人口割だけで決めるのが正しいのかどうか疑問だ。「一票の格差」とは何か、改めて総合的な見地から検討すべきと考える。