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デスク記事

2013/05/23

 「友達になっても隣人になるな」と言う諺がある。良き隣人同士になるのはなかなか難しい。あまりにも利害が重なり、しかも互いに気持ちを知り尽くしているので、ちょっとした言動が敏感に伝わる。いつまでも付き合おうと思えば、適当な距離を置くべきなのだろう▼国政を担おうとする政党、国会議員にとって、選挙は第一の関門。ここを通過しなければ、全てが水泡に帰する。そこで政党の方向性などが一致すれば、選挙協力をして党勢を拡大しようとする。「日本維新の会」と「みんなの党」は、それを確かめて選挙協力を決めた。しかし、維新の会の橋下徹共同代表による一連の発言で、選挙協力が解消され、今度は互いを批判する始末▼重要な参院選のために結んだ選挙協力。発言一つで瓦解するとは、あまりの脆(もろ)さに驚かされる。国民の前で交わした選挙協力は、今後の日本の政治を左右するような重要なこと。しかし一つの発言で撤回されるなら、この発言がなくても、いつ何かの原因で協力体制が崩れるか、分からない▼言わなくても良いことを発言した橋下氏は軽率だったかもしれない。しかし気になるのは、それを非難し、糾弾する政党、政治家、マスコミ。言葉が躍り、走り、装飾された表現が巷(ちまた)に流れる。「負の部分はさらに別な姿に変わる」とは、よく言われること。それにしても、他を非難する時、みんな自分が聖人君子であるかのような振る舞いだ。そして、選挙で一つでも議席を得るよう、日本にとっても不幸な橋下発言をこれ幸い≠ニばかり、利用しようとしている。