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「山笑う」という言葉がある。山が冬眠から醒め、木々の芽がふき、新緑が映え、野の花も一斉に開花する時を表現する言葉だという。厳しかった冬が去り、自然が一気に色づき活気が出てきたオホーツクの初夏は、まさに山笑う℃桙ニいえるだろう▼過日、写真好きの友人と浮島峠経由で旭川に行ってきた。その時彼は「車のウインドウをカメラのファインダーに見立て、シャッターを切ったつもりで楽しむようにしています。展開する四季折々の風景は、とても素晴らしく、千変万化だからね」と言う▼うまい楽しみ方があったものだ。言われてみれば確かにそうだと合点がいった。彼を真似てみると、実に多くのシャッターチャンスがあるのが分かった。彼は「残念ながら、作品としては一枚も残っていないけどね」と言って笑った▼田園地域や滝上の芝桜、そして緑したたるドライブコース。生き生きとした大自然の姿がファインダー≠フ中に展開して来る。浮島トンネルを過ぎると、右手の急峻な山肌に多くの雪崩(なだれ)の跡が鮮明に浮き出ていた。その跡も、やがて植物の成長で隠されるのだろう▼雪解けのせいで、川の水は勢いよく流れている。しかし日本各地の川、湖は今、雨量が少ないために、底の土砂が割れている所もある。世界的に見れば、大河と知られる川が干上がって、流れの止まった所もあるという▼3年前に見た、インドネシアの大河・ブンガワンソロも、乾季には水が流れていなかった。それらを考えれば、我々の住む地域の自然の豊かさを改めて実感する。決して当たり前の風景ではないのだ。