←前へ ↑一覧へ 次へ→

デスク記事

2013/06/29

 参議院は解散がないため6年間の議員生活が保障される。衆議院の行き過ぎを防ぐ良識の府≠ニして位置づけられ、国家の先行きを長期的な視野で見つめる役割を持つ。その参議院が、本来求められる「品格」を失い、国民の期待に逆行する▼通常国会の最終日、よもやこんな失態が演じられようとは、誰が想定しただろう。東電福島第一原発事故に端を発する電気事業法改正案や、生活保護法改正案など、重要法案が軒並み廃案になった。原因は法案審議の前に安倍晋三首相の問責決議案が先行、可決され、法案審議が成されなかったためだ▼問責決議に至った経緯は、国会運営で与野党間の真摯な話し合いが成されず、その結果出てきたいびつ≠ネ形が拡大したもの。与野党の身勝手さが、国民生活を左右させる重要法案を廃案にさせた。良識の府の看板を下ろす時期に来ている▼参議院が、衆議より大人≠ナあって、品格あるものなら、その存在意義はあるだろう。しかしそれが失われ、「何も決められないネジレ国会」の要因になっているのなら、参議院不要論は現実味を帯びてくる。今回は、その必要性を感じさせた▼なぜ与党は問責決議の先行採決を容認したのか。なぜ当初法案成立に賛同していた民主党が、突然問責決議に賛同したのか。与野党とも、その行為が法案の廃案に繋がるのを知っていながら…。法案成立より、来月に迫った参議選に思いが走ったのか。国家より政党を、政党より自己の保身を優先させる、そんな姿が浮き彫りになる。国民こそ問責決議案を提出したい。参議選への投票の中で。