風紋記事
滝上町は、滝上高校の存続を諦めたのだろうか。このほど湧別町で開かれた公立高等学校配置計画地域別検討協議会を取材しての率直な感想だ▼同協議会は北海道教育委員会が主催し、地域の教育関係者に対して公立高校配置についての考えを示して、地域からの要望を吸い上げる場。これまでは滝上中学校のPTA会長らも出席し「滝上高校が無くなれば、交通の便などから高校に通えなくなる生徒も出てくる」などとして、存続を強く訴えてきた▼しかし今回の協議会では、同中PTAからの出席者は無く、保護者の生の声は届かなかった。滝上中の校長は「経済的にほかの高校に通うのは無理な家庭もある。何とか地元を残してほしいという声は強い」と述べたが、保護者の声を代弁したに過ぎない▼今春、滝上中を卒業した15人のうち、滝上高校に進んだ生徒は5人と少なかったが、逆に紋別市など町外から18人が集まった。地元進学率の低さは高校存続に関して不利な材料だが、それを大きく上回る生徒が集まってくるのには何か理由があるはずだ▼平成22年度から2年間、滝上高校は文部科学省から特別支援教育推進事業実践校に指定され、中学校時代に不登校などに陥った生徒を積極的に受け入れた。そうした優しさ≠ェ滝上高校の特長なのではないか▼滝上中の校長は「選択肢があるのは子どもにとって喜ばしい」という発言もした。しかし、ただの選択肢≠ナは弱い。本当に存続を願うのであれば、子どもたちにとって唯一無二の存在であることを、町をあげて機会あるごとに粘り強く訴えるべき、と考える。(瀧澤)