←前へ ↑一覧へ 次へ→

風紋記事

2013/09/14

 10日に滝上町滝西で起きた単独交通事故。運転していた男性は内臓を損傷する重傷だったが、滝上消防、滝上国保病院、道北ドクターヘリ、旭川日赤病院の連携プレーで尊い一命を取り留めた。しかし消防到着前にも重要な連携プレーがあった▼事故車両は路外で横転しエンジン付近から煙を噴き出していた。それに気付いた人たちが集まり、1人が消火器で消火を試みたが煙は弱まらない。車の中に人がいるかもしれないと考えても、ものすごい煙は爆発を予感させ、誰も車に近寄ることはできなかった▼そこへ北紋バスの貸切回送車が通りかかった。「消火器があれば使わせてほしい」との要請に乗務員が応え、受け取った人が噴射。ようやく煙が収まり現場には安堵感が広がった。車内を確認すると後部座席に男性の姿。「いるぞ」と声が上がり数人がドアをこじ開けた。男性は「痛い」とうなっているが意識はある。「下手に動かしてはケガの状況が悪化するかもしれない」と判断し、「頑張れよ」「もう少しで来るからな」などと励ましながら救急車の到着を待った▼バスの後ろを走っていて現場に遭遇したという市内の男性は「決定的だったのは2本目の消火器。これが無ければ炎上して、手がつけられなくなったかもしれない。みんなで頑張って何とかしようと思い、現場の連携もうまくいった。救急車を待つ間の声掛けも、とても温かいものだった」と語る▼不幸な事故ではあるが、消火器2本の存在やドクターヘリが飛べた気象状況という幸運、そして励まし続けた人たちの思いが男性を救った。(瀧澤)