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風紋記事

2013/11/24

 「あなたの欠点は?」と聞かれて「おっちょこちょいなところがあります」と言う人がいる。この人は、その答えで何を言いたいのだろうか。「自分はおっちょこちょいではあるが、本質的にはしっかりしている。間違いはあくまで些細で表面的な現象の問題にすぎない」ということではないか▼何か間違いを指摘されると「勘違いした」と言い訳する人も多い。「あくまで偶然のちょっとした行き違いが原因であり、本質的に間違ったわけではない」と言いたいのだろう▼しかし現象は、本質を鏡のように映し出す。リンゴが地面に落ちること自体は一見、ただの現象だが、その本質として万有引力の法則があることをニュートンは見抜いた▼表面に現れた行動や態度、癖などの現象こそがその人の本質を表す。「おっちょこちょい」や「勘違い」の多い人は、その本質が「がさつ」であり、注意力が散漫だということではないか▼ところで紋別市民は観光客に対して引っ込み思案で、無愛想な印象を与えるが、本質は純朴で優しく、気がいいなどとよく自分たちで言う。しかし、これも間違った「本質偏重論」だろう。理屈抜きで、おもてなしの心が表面にはっきりと「現象」してこそ真の観光地たりえるはずだ。観光はまず見た目。本質よりも、目に見える現象から改革を始めたい▼紋別観光協会では、観光のよろず相談係「コンシェルジュ」の育成に努めている。素晴らしい取り組みだと思う。来年の流氷観光は明らかに昨年と違って見える、という関係者の工夫と革新に期待したい。(桑原)