風紋記事
北洋銀行紋別支店の取引先でつくる親睦団体「北洋紋別はまなすクラブ」の総会を取材した。支店長の目時剛さんが、最近の北海道経済の情勢について講話したが、これには感心した▼北海道の景気が上向いていることを紹介し、背景の一つに東南アジアなどからの外国人観光客が多く押し寄せていることを挙げる。話は転じて、目時さん自身が「北海道フードマイスター」や「北海道観光マスター」の資格を持っていることを紹介。転勤族の自分が、紋別でとれたてのカレイの煮付けを初めて食べた時は「こんなに美味いのかと衝撃を受けた」とマイスターとして太鼓判を押した▼そして北洋銀行が最近タイに駐在所を置いたことに触れながらタイ人が北海道観光に求めるものとして@雪景色A流氷B海産物、を挙げ「これってまさに紋別のことですよね」と問いかけた。最後に、紋別観光の潜在能力の高さとビジネスチャンスの可能性を訴えてしめくくった。時間にして9分。銀行マンらしからぬストレートで、もったいぶらない口調がいい。起承転結もある。「スピーチとスカートは短いほどよい」とよく言われるが、目時さんの話は簡潔さだけでなく、自身の体験に基づいた面白さがあった▼紋別の人は紋別の魅力を分かっていない、という説はもう何十回も聞かされてきたが、今ひとつピンとこなかった。目時さんの話に引き込まれ、初めて分かった気がした▼偶然にもその日、夕食に「カレイの煮付け」が出た。いつも当たり前に、感動もなく食べていた味だが、この日はゆっくり味わって「そうか」と思った。(桑原)